ひと月前に施術後とても良好な状態にバランスが取れて帰って行かれた方が先日来られました。
不思議に思って
「どうされました?」
と、治療に入る前に尋ねたところ、、、、
「最悪な状態なんです。治っていた膝も腰も1週間前からすごく痛くなってきちゃいました、、、」
「えー???」
前回の治療後の良好だった状態を鑑みて違和感を覚えたのでこう聞きいてみました。
「痛みが出る1週間前位になにか負担がかかるような事しませんでしたか?」
「別に、、何もしてないですけど、、、マッサージの回数券が残っていてもったいないから行ったくらいかなぁ~」
、、、それです!
「友達がいくと気持ちいいよと勧めてくれたウチの近くの接骨院で、いったら最初に回数券をすすめられて定期的に通えばそれで保険が使えるというし、マッサージだから先生の治療とは関係ないかなと思って受けたんですけど、、、」
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今回のエピソードには大きな問題点が
2つあります。
まずひとつは
身体はとても繊細なセンサーを持っていて、ほんの僅かな刺激でも角度や強さによっては体のバランスが大きく変わってしまうという事です。
同じ「凝っている」筋肉でも筋膜が炎症を起こし固くなっているものと血流が滞って冷えて固くなっているものがあります。
また、刺激を入れる方向も筋肉の付着部から末梢に向かってかけるのと逆の向きでかけるのでは反応は大きく変わります。
また、筋膜やトリガーポイントも押す強さや手を放すタイミングでも大きな違いが出ます。
それらを考慮せず不用意にマッサージやストレッチをするとその意味不明な刺激に反応して脳は混乱状態に陥ります。それでもなんとかバランスを取ろうと脳は全身に情報をフィードバックして修正を試みるのですが、この作用により必要のない個所が緊張して例えば背骨が捻じれたり、それまで締まっていた関節が緩んでしまって新たな痛みが発生するという現象が起こるのです。それは内臓の働きにまで影響を及ぼします。
そして、この刺激に対する痛みの反応が出るのは治療が成功して痛みが無くなるのと同じ72時間後以降なのです、、、
ですからこの患者さんのようにマッサージが原因で痛くなった事に気づかないという事象が起こるわけです。
もちろんマッサージも理論的に施せばそれなりによい効果が望めるのですが、やはりそこには知識と経験が必要となってきますから受ける側も慎重にならなければいけません。
そしてもう一つは
この「マッサージ回数券」の販売をしているのが「接骨院」だという点です。
皆さんの元に加入している健康保険組合から接骨院を受診してしばらくしてから「受診者照会のお問い合わせ」という書類が送られてくることがあると思いますが、これは何の為かというと「不正受給」
つまり、接骨院で対応可能な「痛み」に対する適正な保険請求がなされているかなされているかをチェックするためなのです。
この患者さんのケースのように回数券で慰安的なマッサージをして保険請求する事例が増えているため保険組合も厳しく取り締まらざるを得ないのでしょう。
受診する側も注意しないといけません。
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施術終了後、身体を動かしてもらいました。
「痛み、無くなりました!」
幸いなことにさほどシリアスな捻じれではなかったので無事元に戻りました。
「だって、先生の治療受けてる間はマッサージは受けちゃいけないって言って下さらないんだもん」
はい、、、、という訳で今回書かせていただきました、今後はご注意くださいませ(笑)
※ マッサージに限らず当院での治療期間中の鍼灸や整体、理学療法などとの併療は治療後の経過が読めなくなるのでおやめください。
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