前回やればやるほど健康になれると考えてしまう「足し算の発想法」についてふれましたが、実はこれ食べものだけではないのです。
当院ではある症状でクライアントが来院されると初診時、2回目、3回目と必ず1週間開けて受診していただきます。(骨折や捻挫などの外傷はこの限りではありませんが)
例えば急性のぎっくり腰で寝返りも打てない状態の方でも、腰以外の何か所かを調整することで痛みはかなり改善されます。そしてこの良い状態が脳にフィードバックされて身体が治癒を開始するのに72時間を要します。
つまり、この3日から1週間ほどの時間を経た後でないと次のアプローチの為の正しい展望が見えてこないのです。
「不安なので明日も来たいのですが、、、」
とおっしゃる方もいます。お気持ちはよく分かるのですが、そこを誤ってやり過ぎてしまうと治癒が遅くなるどころか、悪化させてしまう事もあるのです。
ですので、内科的な問題で投薬量が多かったり余程重篤な状態でない限り1週間おきに3回通院していただければ大概の症状は改善されます。
つまり「やればやるほど」良くなるのではないという事です。
もうひとつ。
私は治療に向き合うプロセスを「絵画を描くこと」に例えることにしています。
イメージした完成画にむけて構図を決め、色を厳選し塗り重ねていく作業ですが、治療という作業にとても似ているのです。
骨格、内臓、動脈、神経、脳脊髄液の流れなどを精査し最も問題のある場所を正確に修復してその方の一番ベストな状態のイメージに戻していく作業です。
もしあなたがある画家に絵の制作を依頼したとしましょう。
制作が始まり少しづつ作品が仕上がってきた頃、ふと「もう一人別のタイプの違う画家に手伝わせたらもっといいものになるかもしれない」と考えてその作品に別の画家が手を加えたらどうなるでしょう?
おそらくその作品は方向性の見えない失敗作となるはずです。
あなたが当院で治療を受けて痛かった症状が緩和され何となくバランスが整ってきた時に
「ほかの治療法も試したらさらに良くなるかもしれない」
そう考えて次回の受診までの間に何か別の体に良いと聞いた施術を受けたとしましょう。
その後来院されたあなたの身体をチェックした私は呆然とします。
「何故こんな状態になっているんだろう?」
前回の施術を終えた時点で次回はこう改善されているであろうという展望が全く予期せぬ方向へ行ってしまっているからです。
人間の身体は驚くほどデリケートです。針でチクっと刺したりテープを貼ったり、指で軽くなぞるだけでも瞬時に変化します。
本当に必要な最低限の修正箇所を見つけ出し正しい位置に戻してあげることで治療は短期間で成功します。
ところがこのバランスの取れ始めた状態の時に違う治療コンセプトで見立てた刺激が入ると身体は即座に反応します。良いほうに行けばよいのですが大体が逆のパターンになってしまいます。
うかがう中で一番多いのが鍼灸治療ですが、波動調整器(バイオレゾナンス)の別機種のものを受けていたという方もいました。いずれの治療法もそれが悪いのではなく、治療の組み立て方が違うと身体が混乱してしまうという事なのです。
ご自身で「この治療法があっている」と思ったらまずはその治療法に任せるのが良策という事なのですが、もしもこういう治療法が気になっているというときはどうぞ遠慮なく御相談下さい。
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